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新世代の海外挑戦

第1回 安田 桂太朗 : コネチカット・ウルフパック/アメリカ (2014年10月20日)

 

プロフィール

氏名:安田桂太朗(Keitaro Yasuda)

生年月日:2000年7月18日(14才)

出身:愛知県名古屋市

身長・体重:178cm・72kg

所属チーム:コネチカット・ウルフパック

所属学校:チェシャー・アカデミー(コネチカット州プレップスクール)

経歴:アイスマン Jr./大進Jr.(釧路)→ レッドスターズ(苫小牧)→PEAC(ミシサガ・レップスAAA)→コネチカット・ウルフパックAAA

 

2011年にニューヨークで行われたNHL ニューヨーク・アイランダース主催の国際親善大会「ライトハウス・トーナメント」参加を機に、将来は海外でプレーしたいと思ったという安田桂太朗選手。

「よりレベルの高い海外でプレーしたいという気持ちが強くなった。その時は全く英語が理解できなかったが、英語が話せればもっと世界が広がるとも思った」。

 

その気持を実行に移したのは2013年。カナダ・トロントのホッケー養成学校PEACに単身留学した。「NHL選手になりたい」という夢を持って初めて海外に来た時から、選手層の厚さに驚き、自分の力不足を感じた。このままではNHLは夢のまた夢・・・。そう思った時、日本人に足りないものはなにか?を考え、自分にあった進路を見極め、日々の努力を惜しまず鍛錬していこうと決めた。

 

アメリカのプレップスクール(大学進学に向けた教育を提供する全寮制の学校)では、カナダと比べ勉強が重視され、勉強とスポーツを両立できればプロスカウトが注目するNCAAの大学リーグのチームでプレーする進路も見えてくる。そういった面で、より選択肢が多いアメリカに移ることを決め、2014年秋にコネチカット州を拠点とするコネチカット・ウルフパックU14AAA(以下CTWP)に移籍した。

 

CTWPはアメリカアイスホッケー協会が定める一番上の位であるTier1のカテゴリーに所属するアイスホッケーチームで、10才から18才まで、各年齢別のチームを所有している。2013年のU16チームは、アメリカアイスホッケー協会が主催する全米大会(USA Hockey National Championships)で準優勝の成績を収めた強豪チームである。地元のリーグ戦から、ショーケースと呼ばれる多くのスカウトが集まるトーナメントの参加も含め、年間60試合前後をこなす。最近では国外選手のリクルーティングにも力を入れ、全米だけでなく、ヨーロッパやアジアからの留学生も在籍している。

 

Tier1/AAAリーグはその地域の年代別トップレベルの選手が所属するリーグとあって、非常にレベルが高い。コネチカット州周辺だけでなく、遠征(現時点で既にニューヨーク州・バッファローやミシガン州への遠征もこなしている)も多く、たくさんのスカウトが見守る中、全米およびカナダのランキング上位のチームとの対戦を重ねている。

 

「昨年まで(在籍していたカナダのチーム)は、ホッケーが楽しければ良かった。今ではよりレベルの高い中で、チームの皆が勝つ意識を持ってプレーしている。チームメートも皆、上手いので、自分がほしい時にパスをもらえるし、サポートも早い。とにかく全てにおいて質が高いので、試合はもちろんのこと練習でも手が抜けないし、緊張感を持って集中してプレーする分、上達できる」と、ホッケー面での充実がうかがえる。

 

今季は既に17試合に出場し、5ゴール2アシストの成績を残している。守り重視のチームシステムの中、5ゴールはチーム最多タイの数字であるが、「点取り屋としてのプレッシャーもあるし、毎試合点を取るつもりでやっている。決定力が今後の課題」と、ゴールへの意欲は強い。

 

「チームメートや対戦相手が皆、上手いので、もっと努力して彼らを抜くことが目標」であり、毎日の練習にも熱が入る。良いプレーをして得点を決めれば次の試合でも上のセットでプレーできるが、逆にダメな場合はパスも来ず、アイスタイムは減っていく。チーム編成も基本的に1年おきに行われるため、常にチームから求められる存在であり続けなければならない。そんな実力社会は厳しいが、その挑戦にこそワクワクし、成長できる場となっている。

 

CTWPは、チェシャー・アカデミーというプレップスクールと提携している。CTWPの選手達は、一般学生と共にこの学校のキャンパスで教育を受け、寮生活をしながら、課外活動として練習・試合に参加している。この学校に限らず、アメリカのプレップスクールは教育の部分を重視しており、朝8時から15時半まで授業があり、その後には16時〜17時半までスタディーホールという自習の時間が毎日義務付けられている。その後、練習に向かい(学校・リンク間の送迎はCTWPのスタッフが担当)、帰宅すると22時。23時には就寝し、また翌日を迎えるという、まさに勉強とホッケー漬けの生活を送っている。

 

 

留学1年目から、自分に足りない部分を補う為に休み時間も単語の復習を欠かさず行っていたが、その地道な努力が実を結び、「日常会話は問題無い。最近では授業での難しい英語も理解できるようになってきた」という。

 

学校の勉強はもちろんのこと、ホッケーでもコーチ・チームメートのコミュニケーションが必要不可欠。勉強で成績が悪ければチームの練習や試合にも参加できず、それは日本人であれ例外は認められない。週末の遠征先のホテルでも課題や宿題をこなさなければならない等、勉強面でも厳しい環境の下に置かれている。

 

目先の目標はアメリカのNCAA1部の大学に奨学生として進学すること、と明確だ。「人生は一度しか無い。大きな夢があるのであれば、なんでもトライした方がいい。悔いのないように、いろいろな挑戦をすれば、新しい世界が見えて来る」。

 

わずか14才での単身留学。環境の変化、言葉の壁、勉強とアイスホッケーの両立等、決して楽なことばかりでは無いが、安田桂太朗選手の目は輝いている。

 

 

文:三原卓也(リードオフ・スポーツ・マーケティング)

スポーツ留学情報:http://leadoffbreakout.blogspot.com/p/leadoff-breakout.html

お問い合わせ:info@leadoffsportsmarketing.com


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