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新世代の海外挑戦

第2回 月本 萌恵 : ノースウッド・ハスキーズ/アメリカ (2014年11月5日)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロフィール

氏名:月本 萌恵 (Moe Tsukimoto)

生年月日:1998年8月12日(16歳)

出身:北海道札幌市

所属チーム:ノースウッド・ハスキーズ Northwood Huskies

所属学校:ノースウッド・スクール(ニューヨーク州レイク・プラシッド)

経歴:三星ダイトーペリグリン(苫小牧) → ノースウッド・ハスキーズ

代表歴:U16女子日本代表、U18女子日本代表

 

 

滑らかなスケーティングと確かなテクニック、そして身長を活かしたプレーが持ち味の月本萌恵選手は、中学卒業を機に3年間在籍した三星ダイトーペリグリン(苫小牧)を退団し、今年9月に単身でアメリカに渡った。

 

女子の若手選手として注目されている月本選手は、U16女子代表で存在感を示し、今年3月のU18世界選手権のメンバーに当時15歳ながら選出され、5試合で2ゴールを挙げる活躍を見せた。そんな彼女が留学を考えるきっかけとなったのは、2011年にニューヨークで行われたNHL ニューヨーク・アイランダース主催の国際親善大会「ライトハウス・トーナメント」。異国の選手と交流を深める中で、海外にてプレーすることへの意識が芽生えたという。 

ソチオリンピック予選や本大会で多くの先輩選手達を含むスマイルジャパンが活躍したことも刺激になった。「自分も次の2018年の平昌オリンピックを目指すと決めてから、日本でプレーを続けるか、海外に行くかで悩んだ。でも常に海外の選手相手に戦うことで自分のレベルを上げたいと思った」と海外挑戦を決めた。

 

留学先はニューヨーク州レイク・プラシッドにあるノースウッド・スクールというプレップスクールだ。大自然に囲まれたこの街は、1932年と1980年冬季オリンピックの開催地であり、1980年にアメリカがソビエト連邦を破った「Miracle on Ice(氷上の奇跡)」の舞台としても有名な地である。読者の中には、映画「Miracle」をご覧になった方も多いのではないだろうか。

ノースウッド校のアイスホッケー部は男女共に、この「1980年リンク」の他、「1932年リンク」と「USAリンク」の3つのリンクを本拠地とし、ここで毎日練習に励んでいる。冬には屋外リンクや凍った湖でも個人練習が可能だ。

「控室の中には歴代のアメリカ代表選手達の写真も飾られている。歴史があるオリンピックリンクをホームリンクとしてプレーできるのは光栄なこと」と、この場でプレーできることがいかに特別であるかを月本選手は噛み締めている。

 

ノースウッド校は冬のスポーツであるアイスホッケーとスキーに力を入れている。スキーでは多くのオリンピックメダリストを輩出し、1~3軍まである男子アイスホッケー部からは毎年のようにアメリカの大学NCAA1部へ生徒を送り出している。OBの中には現在も現役で活躍する選手も含め、数多くのNHL選手がいる。

女子チームも例外では無く、高校生のトップレベルのチーム相手に年間約50試合をこなす。来年は更に層を厚くする為に女子の2軍のチームができることも発表され、ホッケー名門校としての成長を続けている。

 

「アメリカではフィジカルが強く、パックをキープさせてもらえないことも多い」と、まだこちらのプレースタイルには順応中の月本選手だが、10月半ばから始まった今季は8試合で6ゴールを記録するなど結果を残している。2002年のオリンピックにアメリカ女子代表として銀メダルを獲得した経歴のあるヒル監督も「ゲームの流れを読む力に長けている。1年生ながらチームを引っ張る点取り屋としての活躍ができる選手」と期待も高い。

本人も「今季はチーム内の得点王になることが目標」と意気込んでいる。また、「ホームゲームには学校の生徒がたくさん応援に来てくれて、大歓声の中プレーできることは気持ちが良い」と言うように、学校の友達や先生といった周りのサポートも大きな後押しになっているようだ。

 

アイスホッケーの名門校とは言え、毎日の学校の勉強は欠かせない。平日の朝は6時半に起床し、7時半には授業が開始。毎日昼食後に1時間半の練習があり、その後また学校に戻り2コマの授業を受ける。夕食後は自習時間として2時間の勉強が義務付けられ、その直後には寮に備え付けのジムで1時間程、就寝直前までトレーニング。ホッケーシーズン中は週末も遠征に出るため、フリーな時間はほぼ無く、毎日がハードだ。そんな中、授業でわからない言葉が出る度に単語帳に記録して復習したり、授業でわからなかった点は自習時間に自ら先生にヘルプを求めに行くといった地道な努力も少しずつ身を結び、最近は英語力にも自信が付いてきたと言う。

 

 

 

これまでの留学生活に対して月本選手は「海外を経験することは必ず今後の人生のためになる。実際に留学をして新しい環境に身を置くことは怖かったし不安もあった。でも今は、見るもの全てが新しい世界に身を置けることを楽しめている」と言う。遠征の際には女子の大学の試合も見学し、そのレベルの高さに圧倒されたが、日の丸を背負い北米のトップ選手相手に戦う日も近いかもしれない。

「日本代表に入り、オリンピックに出る」という夢の実現に向けて、今日も「氷上の奇跡」の地で、練習に励む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文:三原卓也(リードオフ・スポーツ・マーケティング)

スポーツ留学情報:http://leadoffbreakout.blogspot.com/p/leadoff-breakout.html

お問い合わせ:info@leadoffsportsmarketing.com


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