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第8回 河内翔 : ニューイングランドカレッジ・ピルグリムズ/アメリカ(2016年6月21日)

プロフィール

氏名:河内翔(かわち・しょう)

生年月日:1993年4月8日

出身:北海道釧路市

ポジション:DF

所属学校・チーム:New England College Pilgrims(NCAA Division3)

経歴:釧路市立青陵中学校/大進ジュニア→ Harrington College→ New England College(NCAA Division3)

 

NCAA(アメリカ大学体育協会)Division3リーグ(2部相当)に所属する、New England College。ニューハンプシャー州ののどかな田舎町にあるこの大学にて、 河内翔選手は今年6月に晴れて卒業を迎えた。

 

彼の北米留学歴は10年以上になる。小学6年生の時に、Harrington College(ハリントン・カレッジ)というカナダ・ケベック州のアイスホッケーアカデミーが地元北海道で開催したキャンプに参加し、そこで経験した練習クオリティーの高さに圧倒されたことが留学を決意したきっかけだった。「より質が高く、ホッケー環境が良い海外でプレーしたい。精神的にも強くなり、プロ選手になるという自分の夢を実現したい」。このキャンプに2年連続で参加したことからその気持ちはより一層強くなり、 中学1年生の秋からカナダに渡りHarringtonに入学した。

 

まだ幼い年齢で親元を離れることに不安は然程なかった。チームメイトにはイギリス人を始め北米以外の選手もおり、差別などを受けることはなかったが、フランス語を喋るフレンチカナディアンと接する機会もあるため、コミュニケーションは乗り越えなければならない壁であった。しかし、渡米後すぐに行われたトーナメントで結果を出したことでチームメイトにも認められ、学業面でもESL授業(英語を母国語としない生徒の為の英語専門教育)や現地の日本人のサポートに恵まれ、良い留学生活のスタートを切ることができた。 

 

Harringtonでは、バンタム(13~14歳)、ミジェット(15歳~17歳)、そしてジュニアを含め 、合計7年ものあいだ在籍した。ケベック州にはCegep(シージェップ)と呼ばれる高校卒業後に通える大学基礎教育機関があり、それらの選手が主に在籍するジュニアリーグが強豪であったため、多くの大学スカウトの前でもプレーすることができた。

「最終ライン付近でパックを効率的に回し、ゲームをコントロールしつつ、状況に応じて前線へと飛び出す攻撃的なディフェンスが自分のプレースタイル。守備面では1対1で負けないのは当然のことで、相手の動きを予測し攻撃の芽を摘むことが得意」と自身のプレーについて分析する。

 

複数のDivision3の大学からオファーがある中、最もレベルが高いと感じたNew England Collegeに進学を決めた(以前このコラムでも紹介した小坂丈選手ともチームメイトであったが、2人が同じチームに来たのは偶然であった)。チームが目指すプレースタイルや相性が合っただけでなく、学業面でも興味のあった生物学や化学等の理系教科に力を入れている点も魅力的で、奨学金も授与された。しかし大学1年生時にはシーズンの試合の半分にしか出場させてもらえなかった。

「日本人ということで最初は監督に信頼してもらえなかった。もし同じレベルの日本人選手とホッケー強豪国の選手がいたら、日本人が起用され可能性は低い。その偏見と戦うにはコーチが望むプレーを理解・表現し、且つどれだけそこに自分の色を付け足せるかが大切」と言う彼の言葉には、自身の経験からくる重みがある。

 

「大学4年間を通してホッケー面でレベルアップはでき、得るものもあったが、最後の2年間は納得いく結果は出せなかった。毎年メンバーが替わる中、それに合わせて自分のプレースタイルも変えないといけない部分もあり苦労もした」と振り返る。大学では文武両道が求められる。「勉強はやらなければいけないもの。体育会の生徒だからと言って、先生が優遇してくれることは無い。むしろホッケー部は年上の生徒が多いこともあり(※高校卒業後もジュニアリーグで1~2年プレーする選手が多いため)、リーダーシップが求められたし、全体育会チームの中でもホッケー部のGPA(平均成績)は最も高かった」としっかり学業面での大切さを痛感すると同時に、立派に学業面も全うした。

 

これまでの海外留学を振り返り、「質の高いレベルの試合が多くできることは何よりの財産になる。10代前半の若い年代ではメンタル面や食事面など、様々なサポートが必要であり、それらを十分に受けられないことは大変ではあるが、その反面、幼い頃から自分を管理できるようになれば、早い段階で『自立できる』とも考えられる」と河内選手は語る。海外でプレーすることの鍵については、「自分をいかに表現するかが大事。日本では『空気を読む』という表現がある通り言わなくてもわかってくれる部分もあるが、こちらでは言わないと理解してもらえない。言葉が完璧に喋れなかったとしても、どうにかして伝えることが大事。氷上ではどんなに身体・パワーで劣っていてもビビらず、絶対的に自信がある武器を持つこと」と言い切った。

 

今後海外留学を目指す選手に対してのアドバイスは、「海外でホッケーをするのはもちろん大変だし、生半可な覚悟ではできないと思う。ただ、その苦労に見合ったものは絶対に得られるので、自分の目標達成のために必要だと感じた人は是非思い切って海外でのプレーにチャレンジして欲しい」と語った。大学を卒業した今、自身の次なる目標は「プロ選手としてプレーすること」。現在はヨーロッパやアジアも含め進路を模索中だ。その先には、いつかNHL選手としてプレーしたいという大きな目標もある。幼い頃から一人で海を渡った度胸、そして大学卒業までの文武両道の過酷な道を自分自身で切り開いてきた実績は、彼が今後どのような道を歩むにしても大きな武器となるだろう。プロ選手としても、その成果を存分に発揮してくれるのを楽しみにしたい。

 

 

文:三原卓也(リードオフ・スポーツ・マーケティング)  掲載:2016年6月

スポーツ留学に関するお問い合わせ:info@leadoffsportsmarketing.com 

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